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海外で水道水を飲むと下痢・腹痛になる?水あたりの症状や原因を解説

2019/08/29

水道水を飲んで、下痢や腹痛を起こしてしまったことはありますか? 特に海外の渡航先で水を飲まれた方や、国内でも冷たい水を一度に大量に飲んだり、コーヒーやアルコールなどの刺激のある飲み物を飲んだりした方は、お腹の不調を感じられた方もいらっしゃるかもしれません。 水を飲んでお腹を壊してしまうことを水あたりといいますが、特に海外での水あたりは健康に深刻な症状を引き起こしてしまうことがあります。 今回は、水道水と下痢に関する症状やその原因、下痢を起こさないための水の飲み方などについて解説します。

水道水を飲むと下痢・腹痛に?水あたりの症状や原因

◇ 水あたりとは

水あたりとは、水を飲んでお腹を壊してしまうことを指します。水あたりは、ミネラルや細菌が原因で引き起こされることが多いです。日本の場合はミネラル含有量が少ない軟水が多いですし、細菌や金属の含有量などについて厳しい水質基準が定められているので、水道水を飲んでも水あたりのリスクはあまりありません。

水あたりについて特に注意したいのは海外旅行の際です。厚生労働省も海外渡航者に対して食べ物や水を介した感染症リスクについて注意喚起をしています。

◇ 水あたりの症状

<軟便、下痢>
水あたりの症状として最も多いのが軟便・下痢です。1日に4~5回の軟便、もしくは水便が出るのが典型的な症状です。原因となる細菌として、コレラ菌、細菌性赤痢菌、毒素原性大腸菌などがあります。

また、下痢や軟便は感染性以外の原因(体調の変化、食生活の変化、ストレス、飲料水の硬度の違い、脂肪分や香辛料、アルコールの過剰摂取)が原因となるケースもあります。

<吐き気、嘔吐>
激しい吐き気や嘔吐を引き起こすケースも多く、時には水やスポーツドリンクが飲めないほどの症状を引き起こすこともあります。吐き気や嘔吐を引き起こす病原菌の具体例は、コレラ菌、毒素原性大腸菌などです。

<激しい発熱>
料理や飲料水に含まれる病原菌が原因で激しい発熱を引き起こすこともあります。腸チフス・パラチフス、細菌性赤痢などによって引き起こされます。

<腹痛>
細菌性赤痢、毒素原性大腸菌、カンピロバクター腸炎などの細菌が激しい腹痛を引き起こすこともあります。

◇ 水あたりの原因と海外で注意すべきポイント

<ミネラル>
海外ではミネラル分を多く含む硬水が多く、ミネラル成分(カルシウム・マグネシウムなど)が腸を刺激することで水あたりを引き起こします。
※一般的に硬水=海外の水というイメージがありますが、沖縄全土、埼玉県熊谷市、千葉県木更津市など水道水のミネラル含有量が100mg/Lを上回っている地域もあります。

<海外の水道水>
海外では、水道水を安心して飲めるとは限りません。例えば、ロ-マ、パリ、ブリュッセル、ソウル、北京などの地域は水の硬度が高いため、水道水をそのまま飲むと下痢をしてしまう可能性があります。

外務省海外安全ホームページ」においても、「水道水が飲める地域もありますが、その場合でも体調によってはお腹を壊してしまうことがあります。」と、ミネラルウォーターの使用を推奨しています。

また、衛生状態のよさそうなレストランで、できるだけ熱を通したメニューを選ぶこと、生ものを口にする際は現地をよく知る人に相談することなども、海外で下痢をしないためのポイントとして紹介されています。

<水あたりの原因となる主な細菌>
主な細菌を図にまとめると以下のようになります。

細菌名 症状
コレラ 激しい下痢や嘔吐
腸チフス・パラチフス 発熱、発疹、便秘
毒素原性大腸菌 腹痛、下痢、吐き気、嘔吐
細菌性赤痢 高熱、腹痛、下痢、血便

<氷や生野菜、カットフルーツにも注意が必要>
水道水だけでなく、氷が入ったジュースなどの飲み物、生野菜、カットフルーツといったものも、海外では避けたほうが安心です。氷は生水から作られている可能性がありますし、生野菜やカットフルーツも生水を使って処理されている可能性があるからです。基本的に、加熱された食物以外は口にしないようにしましょう。

下痢や腹痛を改善するための水の飲み方

ここまで、主に海外における水あたりの症状や注意点について説明してきました。実は日本でも、飲料の飲み方によっては水あたりの症状を引き起こす可能性があります。下痢や腹痛を予防・改善するためには、水の飲み方にも注意しましょう。

◇ 冷たいものの飲みすぎはNG

冷たいものを飲みすぎてしまうと、胃腸の負担になり消化機能が低下して下痢を引き起こしやすくなってしまいます。同様の理由から、一度に大量の水分を飲むのもあまりよくありません。

◇ アルコールやコーヒーなどの刺激物は避ける

アルコールやコーヒーなどは刺激物なので、下痢を引き起こしてしまうことがあります。

◇ 下痢になってしまったらこまめな水分補給を

もし下痢になってしまったら、脱水症状を引き起こさないようにこまめな水分補給を意識しましょう。下痢をしているときには、便と一緒に体に必要な水分が体外に排出されてしまうため、脱水症状に陥りやすいためです。

口の中やのどの渇きを感じたら、常温やぬるめの水をこまめに摂取しましょう。

◇ 下痢が続くときには医師に相談すべき<

通常の下痢は自然治癒するケースが大半ですが、慢性の下痢の場合には原因となる病気(過敏性腸症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎など)の治療が必要なケースがあります。それぞれの病気について、簡単にご説明します。

<過敏性腸症候群>
ストレスや自律神経の乱れによって腸機能に異常が出る病気。食生活や生活習慣の改善、もしくは心療内科の受診が必要。

<クローン病>
腸壁の慢性的な炎症によって下痢や痙攣性の腹痛などが起こる病気。根本的な治療が困難なため、症状の緩和が主になる。

<潰瘍性大腸炎>
大腸の粘膜の炎症によって潰瘍ができる病気。原因不明で難病指定がされている。

また、細菌による下痢の場合には激しい下痢や高熱が続き、生命の危険を招く場合もあります。

原因となる病気の治療や点滴による水分補給などの処置が早急に必要なケースもあるため、下痢が続く場合には医師に相談しましょう。

まとめ

海外渡航時には、飲み水によって下痢を起こしてしまう水あたりに注意が必要です。海外の水は、ミネラルの含有量が多かったり細菌が多く含まれていたりして、下痢を引き起こしてしまうリスクが高いためです。そして、これらの旅行者下痢症は激しい高熱や嘔吐などの重篤な症状を引き起こすこともあります。

日本国内の水道水を飲んでいる場合には特に心配はありませんが、冷たい水を飲むときや水分を一度に大量摂取するとき、コーヒーやアルコールなど刺激性のものを摂取する際には下痢や腹痛を招くことがあります。

人にとって水分は必要不可欠なので、飲み方に気を配って正しく摂取するように心がけましょう。

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