水とライフスタイル
水道水で麦茶を作るのは危険?水出しと煮出しどっちがいい?
2020/12/14麦茶を作るとき、水道水を使っていますか?それとも浄水器やウォーターサーバーの水を使っていますか? 今回は、「水道水で麦茶を作るのは危険なのかどうか?」「水出しと煮出しではどちらが安全でおいしいのか」などについてご紹介します。 麦茶の健康面への効果なども紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
水道水で麦茶を作るのは危険?安全性について
水道水に含まれる残留塩素などを、「健康に良くないのでは?」と不安に感じることもあるかもしれません。安全性はどうなのでしょうか?
◇ 水道水でも安全な麦茶は作れる
日本の水道水は、水道法で定められている非常に厳しい基準を満たしています。一般細菌や大腸菌、重金属など健康に影響を及ぼす可能性のある物質について、51項目もの基準が設定され、その基準に適合するように管理されているため、そのまま飲んでも安全です。もちろん、水道水で作った麦茶も、安全性は問題ありません。
◇ カフェインが含まれないので赤ちゃんや妊婦さんも安心
紅茶や緑茶、ウーロン茶などの多くのお茶に含まれるカフェインですが、麦茶には含まれていません。
カフェインを過剰に摂取すると、中枢神経系の刺激によるめまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠症、下痢、吐き気など等の健康被害をもたらすことがあります。
また、妊婦さんがカフェインを過剰摂取した場合、胎児の発育阻害や低体重、早産、死産などのリスクが高まることが示唆されています。そのため、海外の多くの機関では、カフェインの摂取制限を提案しています。
たとえば、英国食品基準庁(FSA)では、妊婦さんに対して1日あたりコーヒー200mgまでを推奨しています。世界保健機関(WHO)では具体的な数値は提示していませんが、1日あたりのコーヒーの摂取量についてカップ3~4杯までを推奨しています。
日本では、厚生労働省が具体的な数値は設けずに過剰摂取への注意喚起を行っている状況です。
麦茶はカフェインを含んでいないので、妊婦さんや赤ちゃんも安心して飲むことができます。
水道水で冷たい麦茶を作る2つの方法
水道水でおいしい麦茶を作る方法には、煮出しと水出しの2通りがあります。
◇ 煮出しで作る方法
煮出しは、以下の手順で作ります。
- やかんなどにティーバッグを入れて、3~5分ほど煮出す
- 火を止めて、5分ほど置いてからティーバッグを取り出す
- そのまま常温になるぐらいまで冷まして容器に移し替えて冷蔵庫で冷やす
※注意点
塩素系の消毒剤やその副生物(トリハロメタンを含む)の味や健康への影響が気になる場合は、やかんのふたを開けた状態で10分間以上の煮沸を行いましょう。10分以上の煮沸でトリハロメタンは除去されますが、5分程度の煮沸時間の場合には逆にトリハロメタンが増えてしまうことがあります。
<水道水の煮沸の詳しい方法は、以下の記事をチェック>
◇ 水出しで作る方法
水出しは、以下の手順で作ります。
- 容器に水道水とティーバッグを入れて冷蔵庫に入れる
- 1~2時間ほど経過したら、ティーバッグを取り出す
このような水出し専用ボトルを利用すると、便利でおすすめです。
専用ボトルに、水とティーバッグを入れるだけ。お湯を沸かす手間がありません。
冷蔵庫で冷やして完成。
麦茶を煮出しで作るメリット・デメリット
煮出しで麦茶を作るメリットとデメリットについて紹介します。
メリットは以下の通りです。
≒ 麦茶の味・香り・風味を強く感じることができる
≒ 残留塩素を飛ばすことができるため、カルキ臭が苦手な方でもおいしく飲める
デメリットは、水出しよりも短時間で作れる分、お湯を沸かす手間がかかることです。
麦茶を水出しで作るメリット・デメリット
麦茶を水出しで作るメリット・デメリットについて紹介します。
水出しのメリットは、水とティーバッグを入れて冷やすだけなので手間がかからないことです。
ただし水出しの場合は、カルキ臭が残ってしまうことがデメリットです。カルキ臭が気になる場合、冷蔵庫で冷やせば1日ぐらいで塩素が抜けて、臭いは感じづらくなります。麦茶の風味もつくので、水道水をそのまま飲む場合より、気にならないでしょう。
ちなみに、麦茶を水出しで作る際には、水出し専用のティーバッグを使用してください。
保存期間
保存期間についてもご紹介します。
水道水に含まれる塩素には殺菌効果がありますが、煮出しで麦茶を作る場合は、煮沸により残留塩素が除去されるため、塩素の殺菌効果はありません。
水出しの場合は、水道水をそのまま使えば残留塩素が残るので、煮出して常温でしばらく置いた水よりも細菌が繁殖しづらいです。浄水器などを通した水を使う場合は、浄水器が塩素を取り除くため、塩素による殺菌効果は期待できません。ただし、水道水をそのまま使った場合でも、水中の残留塩素は徐々に減っていくので、できるだけ早めに飲み切るべきです。
また、麦茶には、緑茶のように抗菌作用を持つカテキンは含まれていないうえ、細菌が好むタンパク質やデンプンも含まれているので、日持ちはしません。商品や条件などによっても多少異なりますが、冷蔵庫に保存して、2~3日以内に飲み切るようにしましょう。
<水道水の保存期間について、詳しくは以下の記事をチェック>
関連記事:水道水の保存期間はどれくらい?何日が目安?保存方法も解説します
麦茶の嬉しい健康効果
麦茶には、健康面でのメリットがたくさんあります。
その中の代表的なものをご紹介します。
- 抗酸化作用
(ただし、緑茶よりは抗酸化作用が劣るので、抗酸化作用にこだわる方には緑茶がおすすめ) - 血行促進
(夏の暑い日に麦茶を飲んで血行を促進すると、夏バテの防止にも効果的) - 体を冷やしてくれる・ほてりを抑えてくれる
(暑さでほてった体を冷やしてくれる効果があります) - 胃の粘膜を守ってくれる
- 糖尿病の合併症予防
- 虫歯予防
(麦茶にはバクテリアの定着を予防する効果があり、
虫歯菌といわれるミュータンス菌の生成を阻害する働きがあります)
まとめ
カフェインが含まれておらず、血行促進や抗酸化作用などの健康への効果も期待できる麦茶は、妊婦さんや赤ちゃんも安全においしく飲める飲み物です。麦茶を水道水で作った場合でもその安全性は大きく変わることはありません。
煮出しのほうが麦茶特有の風味は良くなりますが、水出しと比較をすると手間がかかります。水出しは抽出に時間はかかりますが、お湯を沸かす手間もないので手軽です。
味を重視するなら煮出し、手軽さを重視するなら水出しがおすすめだと言えます。
参照元
<監修者プロフィール>
名前:山中 亜希
2004年、ミネラルウォーター専門店「AQUA STORE」の立ち上げと同時にイタリアにてアクアソムリエの資格を取得。2008年より、アクアソムリエを養成する日本初のミネラルウォーターの専門スクール「AQUADEMIA」を開校し、校長に就任するとともに、ミネラルウォーター専門店「AQUA STORE」のディレクターとしても活動。ミネラルウォーターの正しい知識・情報の普及のために、セミナーや講演、企業へのコンサルティング業務などを行っており、海外からもセミナーの講師として招聘されている。