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水とライフスタイル

【食事中の水分補給】水を飲まないほうがいいは嘘だった?実験結果を紹介

2020/06/23

食事中に水を飲まないほうがいいのかどうか、悩んだことはありませんか?食事中の水分補給については様々な場所で議論が繰り広げられています。よく耳にする内容といえば、「食事中に水を飲むと胃液が薄まるから良くない」というものです。 食事中の水分補給には、肯定的な意見と否定的な意見の両方が見られるため、「実際どうなの?」と、疑問に思う方もいるかもしれません。 そこでこの記事では、水分補給による胃酸への影響を示した実験を根拠にして、食事と水の関係を詳しく解説していきます。

「食事中に水を飲まないほうがいい」は嘘?根拠となる実験結果を紹介

「食事中に水やお茶、汁ものを飲まないほうがいい」といわれる代表的な理由に、「胃液が薄まって消化の働きが鈍る」という通説があります。

しかし、多くの飲食店では食前に水が提供されますし、食事と一緒に水を飲んだことによる健康被害などはほとんど聞いたことがありません。よって「食事中に水を飲まないほうがいい」という主張は、そこまで信憑性があるものではないかもしれません。

その根拠に、水分補給後の胃液がどのように変化するかをまとめた、いくつかの実験をご紹介します。

◇ 根拠となる実験その1

2008年に行われた胃のpHに関する研究によると、健康な男性6人がコップ1杯の水(200ml)を摂取したところ、水を飲んでから1分後に胃酸のpHが4上昇した(胃酸が薄まった)という結果が出ています。

しかし、水を飲んでから胃のpHが4上昇していた継続時間は3分間でした。この実験の記録は、「水を飲んでも3分後には胃のpHがもとに戻る」ことを証明するものといえます。以下、実験結果の一部引用です。

“Water increased gastric pH >4 in 10/12 subjects after 1 min.
“Gastric pH >4 lasted for 3 min after water and for 12 min after antacids

出典:A Glass of Water Immediately Increases Gastric pH in Healthy

 

◇ 根拠となる実験その2

手術前の水分補給による胃の変化を調べた研究(2008年)によると、手術の2時間前に300mlの水やリンゴジュース、ブラックコーヒーや炭酸飲料などを飲んでも、胃液の量やpHに影響がないことが明らかになりました。以下、該当部分の引用です。

“Drinking 300 mL of clear fluid two hours before surgery has no effect on gastric fluid volume and pH in fasting and non-fasting obese patients.

出典:Drinking 300 mL of clear fluid two hours beforesurgery has no effect on gastric fluid volume andpH in fasting and non-fasting obese patients

◇ 【結論】ごく常識的な量を飲むなら問題はない

上記の2実験については、NCBI(国立生物工学情報センター)作成のデータベースに登録されている情報のため、高い信頼性があります。また、エール大学医学部の医師が執筆するブログの記事でも、食事中の水が消化を阻害するという主張に科学的根拠はないと断じています。以下がその記事です。
Do Cold Drinks Alter Digestion?

英文ですが、後ほど【よくある疑問】食事中、水で流し込むと消化に良くないのでは?の章で、記事内容の一部を日本語訳して解説しています。

これまで「食事中に水を飲まないほうがいい」といわれてきた理由の多くは、胃液を薄めてしまうということです。

しかし、今回取り上げた2つの実験からは、水分補給により胃液が薄まるのは一時的であることが証明されました。薄まった胃液は3分ほどで通常時の濃度に戻ることが確認されているため、食事中の水分摂取が消化に悪影響を与えるとは考えにくいです。

実際どれほどの水を飲んだら胃液が薄まるのかについても、根拠となる具体的なデータがほとんどないことから、「食事中の水分補給は消化能力を下げる」という理論は信憑性があまりないといえます。

少なくとも、食事中のお茶やコーヒー、味噌汁などの摂取まで控える必要はないでしょう。

食事中に飲む水の量【目安はコップ1杯】

食事中に水を飲んでも消化に重大な影響がないとわかれば、安心して食卓を囲めますね。水分補給を目的として食事中に水分を摂る場合、目安となる量はコップ1杯程度です。これは、身体が一度に摂取できる水分量が250ml程度だといわれているためです。

一度にコップ1杯以上の水分を飲んでも体外に排出されて無駄になってしまうため、その日の献立に合わせ、食事から摂れる水分と飲み物の組み合わせを上手に考えてみましょう。

ちなみに、一度に大量の水やジュースを飲むなど、常識的な範囲を超えた水分補給は消化機能に影響する可能性があります。身体に負担をかけずに健康的な食生活を送るためにも、食事中の水分摂取量はコップ1杯程度という目安を意識していきましょう。

水分の摂取量について、詳しくは以下の記事をチェックしてください。

関連記事:理想的な水の摂取量の目安ってどのくらい?健康や美容・ダイエットに効果があるの?

【よくある疑問】食事中、水で流し込むと消化に良くないのでは?

「水で食べ物を流し込むと、咀嚼の回数が減って消化によくない」

そのようなことが、よくいわれます。しかし、食事中に水を飲むことと、咀嚼回数が減ることを結びつけるのは、少し無理があると感じます。

普段からあまり噛まずに食事をする癖があれば、食事中に水を飲んでも飲まなくても、消化に悪いことに変わりないからです。水分摂取と咀嚼回数の減少に、因果関係はないといえます。消化を気にするなら、よく噛んで食物を飲み込んでから水を飲めばいいだけの話です。

先ほど取り上げた「Do Cold Drinks Alter Digestion?」の記事で、「Water, in fact, is critical for digestion(実際、水は消化に不可欠)」とあるように、水は消化に深く関わっています。

また、「Liquids help wash down the food, they help break up the food, and aid in digestion(液体は食物を洗い流すのに役立ち、食物を分解するのに役立ち、消化を助ける)」ともあり、むしろ食事中の水分摂取は消化にいい行為だとされています。

まとめ

食事中に摂る水分については、これまで賛否両論の意見がありました。消化機能への影響を気にして「食事中は水などの飲み物を飲まない」という考えが浸透しつつありますが、今回ご紹介したように、食事中の水分補給が消化機能を低下させるという根拠は今のところありません。

各種実験結果からは、水を飲むと胃酸は一時的に薄まるもののすぐにもとに戻り、常識的な量の水分摂取であれば、消化機能への影響はないといえます。

これまで食事中の味噌汁やお茶、コーヒーまで我慢していた方は、どうぞ安心して飲んでください。

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