水とライフスタイル
高齢者の水分摂取量と脱水症状の基礎知識!厚生労働省の情報なども調査
2020/10/25高齢者の健康を守るためにも、水分摂取量と脱水症状の知識は非常に大切です。特に、身近なお年寄りの介護などをしている場合は、信頼できる情報をもとに適切な対応をする必要があります。 この記事では、高齢者の水分摂取量と脱水症状の基礎知識について、厚生労働省の見解を交えながら詳しく解説していきます。
なぜ高齢者ほど脱水症状になりやすいのか?2つの理由
人間の体液バランスは、体内に出入りする水分量が一定に保たれることで維持されています。そして脱水症状は、体液量が著しく減少したときに起こる症状です。
高齢者の場合、以下のような理由があるので、脱水症状になりやすいです。
◇ 体内保持できる水分量の低下
高齢者が脱水症状に陥りやすい最大の原因は、体内に保てる水分量が減ってしまうからです。
加齢によって腎機能が低下すると、水分や老廃物、電解質の再吸収機能が下がることで、排出に必要な水分量が増加してしまいます。さらに、人間は歳をとると、体液を最も多く保持する筋肉も徐々に少なくなります(筋量は加齢によって40歳ぐらいから低下)。
このように体内の水分量が減ることで、高齢者は若い人よりも脱水症状になりやすいです。
◇ 喉の渇きを感じにくい
体内の体液量が減少すると、体液の浸透圧が上がることで「喉の渇き」が起こります。
ただし高齢者の場合は、喉の渇きを感じる口渇中枢が減退する傾向があるため、喉の渇きを感じにくく、若い世代と比べると水分補給が遅れがちになってしまい、脱水症状になりやすいと言えます。
◇ 高齢者の生活習慣にも脱水症状を起こす原因がある
高齢者の脱水症状を引き起こす原因には、以下のようなこともあります。
- 食事量が減ってしまっている
- トイレに行く回数を減らすために水分摂取を控えている
- 夏場もあまりエアコンを使わない(知らないうちに汗をかいている)
- 利尿剤を服用している など
厚生労働省で定めた高齢者における1日の水分摂取量とは?
厚生労働省などでは、「成人の指標を目安」や「体重1kgあたり25~35ml」などを、高齢者に必要な水分摂取量及び摂取基準にしています。また、欧米の若年成人などの基準を使った情報も非常に多いです。
こうした数字に共通するのは、日本の高齢者における生理機能の変化などを考慮していないという点です。
一方で、日本神経摂食嚥下・栄養学会では、高齢者の必要水分摂取量を体重1kgあたり30mlとしています。また、専門学校のなかには、授業用テキスト内で40mlと解説するところもあります。
高齢者における1日の水分摂取量は、日本国内で統一されていません。では、高齢者の水分摂取量は、どのように考えればいいのでしょうか?
例えば、高齢者に必要な水分量を40ml/kgとした場合、体重50kgの人なら1日2リットルの水が必要という計算になります。
ただし、要支援や要介護の高齢者の場合、比較的元気な一般の高齢者と比べて運動時間や量は短いですし、飲水量も少ない傾向があります。そのため高齢者に必要な水分摂取量は、生理的特徴や生活状況なども考慮したうえで、慎重に考える必要があります。
高齢者の脱水症状を防ぐには?
高齢者の脱水症状は、以下のポイントに注意して水分補給をすることで、予防しやすくなります。
◇ 水分補給の時間を決める
高齢者は、喉の渇きを感じにくくなっています。「喉が渇いてから」ではタイミングとして遅いので、時間を決めて水分補給するのがおすすめです。
高齢者に限った話ではありませんが、一般的な正しい水の飲み方としては、コップ1杯程度(150~250ml)の水を、以下のタイミングに分けて飲むことと言われています。
- 起床後
- 食事中(朝昼晩)
- 入浴前後
- 運動前後、最中
- 就寝前 など
正しい水の飲み方を詳しく知りたい方は、以下のページも参考にしてみてください。
◇ カフェインやアルコールは控える
お茶やコーヒー、紅茶といった飲み物は、カフェインによる利尿作用が高いです。また、アルコールにも利尿作用があります。
カフェインの場合、日常的に摂取している場合は、利尿作用への影響は少ないといわれています。ただし、投薬がある場合の副作用を考えると、脱水症状の予防目的には水を飲むのが最もおすすめです。
◇ とろみをつける
喉や舌の老化が進んだ場合、嚥下機能の低下で飲み込みが難しくなることがあります。また、むせるのが嫌で、水分補給を敬遠してしまう高齢者も多いです。
この場合、薬局などで販売されている「とろみ剤」を活用して、飲み込みへの抵抗を緩和させるのがおすすめです。
まとめ
高齢者は、体内保持できる水分量の低下や、喉の渇きの感じにくさといった理由で、脱水症状を起こしやすいです。
高齢者の水分摂取量の目安は、要支援や要介護の状態、生活習慣などによって変わってくるので、それぞれの状況から総合的な判断をする必要があります。
高齢者がいる家庭で効率よく水分補給をするなら、温水・冷水を手軽に注水できるウォーターサーバーはいかがでしょうか?毎月定期的に決められた本数が届くので、一定期間の飲用量を確認するのにも便利です。
参照元
- 味の素株式会社|お役立ち情報|水分補給の重要性と経口補水液|高齢者の水分管理について
- キユーピー株式会社|栄養ケア食品TOP|お役立ち情報|水分補給の重要性と経口補水液知っておきたい高齢期の食事・水分補給
- 亀田メディカルセンター|医療法人鉄蕉会|筋力が落ちるってどういうこと?
- 厚生労働省|健康局が実施する検討会等|水質基準逐次改正検討会|平成26年度第1回水質基準逐次改正検討会|曝露評価に用いる体重について
- 日本介護学会|論文一覧
- 公益社団法人 日本介護福祉士会|一般高齢者と要支援および要介護高齢者の飲水行動と熱中症対策の実態
- 日本コカ・コーラ株式会社|脱水症(熱中症)― 正しいメカニズムの理解と適切な水分補給