水とライフスタイル
精製水と蒸留水の違いとは?どちらも同じもの?
2020/09/03精製水と蒸留水、この2つの違いは何でしょうか? 精製水と蒸留水、どちらも同じように思えますが、正確にいうと、この2つには少し違いがあります。そこでこの記事では、精製水と蒸留水の違いを解説します。
精製水と蒸留水の違いとは?
◇ 精製水とは?
精製水とは、水道水や地下水などの原水に対して、蒸留、ろ過、イオン交換、逆浸透などの処理をおこなって不純物を取り除いた水の総称です。これらの処理を単独、または複数を組み合わせておこない、ミネラル成分や残留塩素、微生物などを除去して精製するため、水道水やミネラルウォーターよりも純度の高い水となります。
精製水は、精製方法によって大きく4つに分類され(次章で解説します)、医療用や工業用、スキンケアなどの幅広い用途で使用されています。
◇ 蒸留水とは?
蒸留水は精製水の種類のひとつで、その名のとおり、蒸留によって不純物を除去した水です。水を沸騰させて発生した水蒸気を冷却し、再び液体にするという方法で精製されます。
これによって、水道水に含まれる電解質や、不純物の一部が除去されます。また、有機物も取り除かれているため、それをエサとしている微生物が繁殖しにくく、腐りにくいとされています。
身近な例ではコンタクトレンズの洗浄水、また医療機関や化学実験の器具の洗浄や薬剤の希釈などで使われています。
蒸留水だけじゃない!さまざまな精製水の種類と特徴
蒸留水は精製水の一種ですが、それ以外に、どのような種類の精製水があるのでしょうか?
◇ 精製水は“精製方法の違いによって”以下の4つに分類できる
精製水における種類の違いは、精製方法によって以下のように分類されています。
- 蒸留水
- イオン交換水
- RO水
- Elix水
蒸留水は先にご紹介しましたので、ここからはそれ以外の3つの精製方法や用途をご紹介します。あまり聞き馴染みがない名称かもしれませんが、意外にも、私たちの生活で使用されているものもあります。
◇ イオン交換水
イオン交換水とは、「イオン交換樹脂」という「ろ過材」に水を通して、水道水に含まれる不純物を取り除いた水です。
イオン交換樹脂には、水の中のイオン成分を吸着し、代わりに自らが持つイオン成分を水中に排出するという働きがあります。この特性を利用して、イオン交換樹脂は家庭用浄水器のろ過材としても利用されています。
水道水に含まれる金属の陽イオンを水素イオン(H+)に、アルカリ成分の陰イオンを水酸化物イオン(OH-)に置き換え、これらが結合して水(H2O)となります。水中のイオンを交換することで精製される水なので、「イオン交換水」という名称で呼ばれているのです。
◇ RO水
ROとは「逆浸透」という意味で、RO水とは「RO膜(Reverse Osmosis Membrane)」でろ過した水のことです。ウォーターサーバーでも広く使用されています。
RO膜は、0.0001ミクロンという超微細な穴が空いています。原水に圧力をかけてRO膜を通過させると、水だけが通り、普通のろ過方法では取り除けないような不純物や微細なウイルスは分離・除去されます。
これは蒸留水や超純水を精製する前処理としても利用されています。
◇ Elix水
Elix水とは、簡単に表現すると「RO水」をさらに進化させた精製水のことです。
先ほどご紹介したRO水と同様に、超微細な穴の空いた「RO膜」で不純物やウイルスを除去します。Elix水では、そこからさらに「連続イオン交換」という技術が使われます。電気と「イオン交換膜(陽イオンと陰イオンを選択して通過させる性質の膜)」を利用して、水に溶けているナトリウムやカルシウムなどのイオン成分を除去します。
RO膜と連続イオン交換の2つを組み合わせた結果、より純度が高まった精製水がElix水だということです。
Elix水は、より純度の高い水を必要とする研究・実験の現場で、器具の洗浄や試薬の濃度調節などに使用されています。
精製水と普通の水、どっちがいいの?
さまざまな方法で不純物を取り除いた精製水をご紹介しましたが、中でもウォーターサーバーで使用される代表的な水は、RO水です。そして、RO水と比較されるものに天然水があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
天然水のメリット
- 天然のミネラルが豊富で、おいしい
- ミネラルが含まれているため、美容と健康に良い
- 採水地によってミネラル含有量が異なり、味の違いが楽しめる
天然水のデメリット
- RO水と比較するとやや価格が高い
- 採水地によりさまざまな味が楽しめる反面、口に合わないことがある
RO水のメリット
- 安全性が高い
- 天然水と比べ、比較的安い
RO水のデメリット
- ミネラル成分が添加されていないとおいしくない
- 原水に水道水を使用している場合もある
価格や味わい、処理方法にそれぞれ特徴があり、どちらが良いというよりは、ご自身のこだわりたいポイントに合わせて選びましょう。
おいしさにこだわるなら天然水を、なるべくコストを抑えたい方はRO水を選択するなど、今回ご紹介した内容や以下の関連記事を参考に、ウォーターサーバー水を選んでみてください。
天然水とRO水の比較や、メリット・デメリットの詳細は、こちらの記事でも詳しく解説しています。