水とライフスタイル
犬にミネラルウォーターを与えても大丈夫?水道水のほうがいい?
2020/09/12水は、人だけでなく犬にとっても、生きていくために必要不可欠なものです。 犬の健康を考えるうえで、「犬に与える水はミネラルウォーターでもいいのだろうか?」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。 結論からいえば、多くの場合、犬にミネラルウォーターを与えても問題はありません。ただし、以下の観点から注意が必要とされることもあります。 1. 尿結石症のリスクとの関連 2. 衛生面 本記事では、上記2つの問題をそれぞれ解説していきます。
ミネラル成分が尿結石症の原因になるかもしれない
ミネラルウォーターには、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分が含まれています。これらの成分は、犬の尿結石症を引き起こす要因になることがあります。
人間にとっては影響のないカルシウム・マグネシウム量でも、犬にとっては負担になる可能性があるため、ミネラル成分が多く含まれる「硬水」のミネラルウォーターを犬に与えるのは控えたほうが良いかもしれません。
日本のミネラルウォーターには軟水の製品が多いですが、海外のミネラルウォーターや国内の一部のミネラルウォーターには、マグネシウムやカルシウムが多く含まれる硬水の製品もあります(「うるのん」の水は硬度29mg/Lの軟水なので、犬に与えても問題はありません)。
健康な犬が、硬水を飲むことで尿結石になることを明確に示した調査結果は今のところありませんが、獣医師によっては、硬水のミネラルウォーターの摂取を控えるよう呼びかけている先生もいます。
また、「鹿児島県で多発するイヌのシリカ結石についての報告」など、ミネラル成分の摂取が結石の原因となっていることを示唆する報告もあります。
尿結石を発症している犬や、まさに尿結石を発症しそうな状況にある犬の場合は、ミネラル成分が多く含まれる水を摂取するのは望ましくありません。
尿結石の症状として代表的なのは、頻尿や普段とは違う場所での排尿、血尿などです。気になる症状があれば、かかりつけの獣医師とも相談したうえで、ミネラル成分の少ない水への変更も検討してみましょう。水に含まれるマグネシウムやカルシウムの分量が気になる場合は、犬用のミネラルウォーターを利用するという方法もあります。
衛生面を考えるなら水道水が最適
細菌を含んだ水を犬が摂取すると、食中毒を発症し、下痢や嘔吐などの症状が現れることがあります。
日本の水道水には、塩素系の消毒剤が用いられています(水道水中に0.1mg/L以上の塩素を残留させることが義務化)。そのため水道水では、食中毒の原因になる細菌の混入や繁殖を抑えることが可能です。
いっぽうミネラルウォーターの場合、塩素系消毒剤が入っていないので、水道水と比べると細菌が繁殖しやすくなります。
水道水に含まれる塩素系消毒剤には、「健康に悪いのでは?」「なるべく摂取しないほうが良さそう」といったネガティブな印象もあるかもしれません。しかし、日本の水道水における残留塩素濃度は、1.0mg/L以下という安全な数値に管理されています。これは、人やペットが飲用水として安全に摂取できるレベルの数値です。
愛犬には、気が向いたらすぐに水が飲める環境を用意してあげたいものです。その結果として犬の飲用水は、人が飲む水に比べて長い時間、常温に汲み置かれるケースが多いのではないでしょうか。
水道水の場合、常温で3日間程度なら、塩素系消毒剤の効果が持続します。つまり水道水なら、愛犬の容器に水を汲み置きしておいても、細菌の混入や繁殖をある程度防ぐことができるのです。
犬によっては、水道水の「カルキ臭」を嫌がる場合があります。もし犬がカルキ臭を嫌がる場合には、煮沸や汲み置きなどの「カルキ抜き」も効果的ですが、塩素を飛ばすことになるので、同時に殺菌効果も落ちてしまいます。
カルキ抜きを行なわずにカルキ臭を抜くには、次の方法がおすすめです。
- 水道水を冷やしてから与える
- 朝一番の水は使わない
- ペットボトルなどに水道水を入れて振ってから与える
カルキ臭を軽減させる方法は、以下の記事にて詳しく解説していますので、併せて参考にしてください。
関連記事:水道水がカルキ臭いのはなぜ?原因と水道水をおいしく飲むカルキ抜きの方法
この記事を読んで、「ミネラル分の摂取量を減らし、衛生面にも気を配るために、ミネラルウォーターではなく水道水を与えよう」とお考えの方に、一つだけ注意点があります。日本の水道水の大半は軟水ですが、水道水の質は地域によって変わります。
九州地方や沖縄県、関東地方などでは、水道水がミネラル成分の多い硬水になっている地域もあるのです。ミネラル成分を避ける目的で犬に水道水を与えたい場合には、自宅の水道水の成分をあらかじめ確認しておきましょう。
まとめ
健康な犬にミネラルウォーターを与えることには、大きな問題はないとされています。ただ、ミネラル成分を多く含む硬水が尿結石の原因になってしまったり、症状の悪化を招いたりする可能性も指摘されています。
尿結石のリスクが高い犬には、硬度の低いミネラルウォーターを与えるか、それでも心配であれば、犬用のミネラルウォーターを選ぶとよいでしょう。
また、衛生面を考えるなら、犬の飲用水にはミネラルウォーターよりも水道水のほうが適しています。水道水は汲み置きにも強く、3日間程度なら常温でも塩素系消毒剤の効果が持続します。水に含まれる細菌による食中毒を防ぎたい方は、水道水を与えるのもおすすめです。
この記事で解説した内容は、犬だけでなく猫にも当てはまることが多いです。猫に与える水に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ、併せて参考にしてください。